【バンドマンが解説】ギタリストが知っておきたい真空管の種類
サマタイです。
ギタリストの皆さんは普段どんな機材で練習していますか?
音質の良さで根強い人気がある真空管を使用したチューブアンプはギタリストなら手に入れておきたい機材の一つですよね。
今回はバンドマンの僕がギタリストなら知っておきたい真空管の種類を解説します。
真空管とは
真空管はもともとエジソンが発明した白熱電球の技術をフレミングが応用したもので、真空状態で物質を高温に加熱すると物質内の電子が表面から放出されることを利用して電流を増幅させることを可能にした技術です。
その後トランジスターが発明されてからは次第に利用されなくなりましたが、オーディオアンプや楽器用アンプでは現在も盛んに真空管が利用されています。
真空管とは、内部を高度な真空とし、電極を封入した中空の管(管球)のことである。陰極から陽極に流れる電子流を制御することによって増幅、検波、整流、発振などを行うことができる。
構造としては、一般的にガラスや金属あるいはセラミックスなどで作られた容器内部に複数の電極を配置し、容器内部を真空もしくは低圧とし、少量の稀ガスや水銀などを入れた構造を持つ。
原理や機能としては、電子を放出する電極(陰極)を高温にして熱電子放出効果により、陰極表面から比較的低い電圧により容易に電子を放出させ、この電子を電界や磁界により制御することにより、増幅、検波、整流、発振、変調などができる。
チューブアンプの仕組み
増幅回路に真空管を使ったチューブアンプはトランジスターアンプに比べて人の耳が心地よいと感じる倍音成分が強調されるため「柔らかく暖かみのある音質」と表現されます。
真空管自体は過去の技術ですが、この音質の良さはデジタル技術が発達している現代においても再現ができておらずオーディオアンプや楽器用アンプでは現在も盛んに真空管が利用されています。
ギターアンプは下記のようにエレキギターのピックアップから拾った微弱な電気信号を増幅回路で増幅させて音を出す仕組みとなっています。
エレキギターの微弱な電気信号→プリアンプで音作りと増幅→パワーアンプで更に増幅→スピーカーで音が出る
増幅回路にはプリアンプ部分とパワーアンプ部分に分かれており、この増幅回路に真空管(チューブ)を使用したアンプをチューブアンプと呼びます。
なお、アンプの種類は下記のとおり大別されます。
真空管で見るチューブアンプの種類
プリアンプ部分に使用される真空管を「プリ管」、パワーアンプ部分に使用される真空管を「パワー管」と呼びますが、使用されるパワー管の本数でアンプを大きく2種類に分けることができます。
シングルエンド(クラスA)
パワー管が1本で駆動しているアンプを「シングルエンド(クラスA)」と呼びます。
パワー管は1本で駆動しているため回路が簡単でメンテナンスがしやすいですが大きな出力を出すのには向いておらず、小型のチューブアンプでよく採用される駆動方式です。
シングルエンドのアンプはプッシュプルのアンプのようにパワー管のマッチングやバイアス調整の必要がないため基本的には規格さえ同じであればすべての真空管を自分で変えることができます。
プッシュプル(クラスAB)
パワー管を2本以上使用したアンプを「プッシュプル(クラスAB)」と呼びます。
パワー管を2本以上使用しているため回路が複雑でメンテナンスがしにくいですが少ない消費電力で大きな出力が得られるため、大型のギターアンプではほとんどがこの駆動方式を採用しています。
プッシュプル式のアンプはパワー管の特性が近いもの同士で組み合わせて使用する必要があり、真空管を交換する際は「バイアス調整」と呼ばれるアンプの調整も必要となる場合があります。
チューブアンプに使われる真空管の種類
プリ管
ギターアンプの音質を決定づけるプリアンプ部分に使用される真空管を「プリ管」と呼びます。
親指ほどの小さい真空管のため「ミニチュア管」とも呼ばれる真空管で、ギターアンプに採用される規格は12AX7(ECC83)が一般的です。
基本的に同じ規格のものであれば自分で差し替えることが可能なため、手軽に音質の変化を楽しむことができる真空管としても知られています。
コアなオーディオファンやギタリストの中には今は作られていないビンテージの真空管をコレクションしている方もおり、RCAやMullard等のビンテージものはマニアの間では高値で取引されています。
ちなみに12AX7はアメリカ、ECC83はヨーロッパでの呼び名でありどちらも同じものです。
パワー管
プリアンプ部分の信号をスピーカーで出力できるレベルまで増幅させるパワーアンプ部分に使用される真空管を「パワー管」と呼びます。
扱う電圧が大きいため、サイズが大きいGT管と呼ばれるサイズを使用するのが主流です。
Marshall、VOX、Orange等のブリティッシュアンプには「EL34」系、Fender系のアンプには「6L6」系のパワー管が使用されていることが多いです。
パワー管を2本以上使用したプッシュプル式のアンプはパワー管の特性が近いもの同士で組み合わせて使用する必要があり、真空管を交換する際は「バイアス調整」と呼ばれるアンプの調整も必要となる場合があります。
プッシュプル式のアンプを使用していてパワー管を交換する際は楽器店等の専門店に相談しましょう。
整流管
「整流管」は交流電流を直流電流に変換するために使用される真空管です。
わかりやすく言えばコンセントからの電気をアンプで使えるような電気に変えてくれる役割を担っています。
現在はダイオードを使うのが一般的なため整流管を使用しているギターアンプは少数派ですが、一度に取り出せる電流が少ないため独特のコンプレッション感が得られることから一部のギターアンプでは現在も使用されています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
ギターアンプは使用される真空管の種類によって様々な音質の変化を楽しむことができますので、チューブアンプを選ぶ際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
この記事がみなさんの一助となれば幸いです。
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