【管理栄養士が解説】プロテインは本当に必要なのか
サマタイです。
みなさんは運動やトレーニング後にプロテインを飲んだことはありますか?
近年のフィットネスブームでアスリートではない一般の人達でもプロテインを使用している人が増えていますよね。
今回は管理栄養士の僕がプロテインの必要性について解説します。
プロテインとは
プロテイン=タンパク質のことですが、日本ではタンパク質を主成分とする栄養補助食品の意味で広く認識されています。
起源は1950年代にアメリカでボディビルディングの人気が高まったことでボディビルダーやアスリート向けに卵白をもとにした粉末状のタンパク質が販売されたことが始まりとされています。
現在は様々なメーカーから販売されており、原料によってホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインの3つに大別されます。
ホエイプロテイン
ホエイ(乳清)とはヨーグルトの上澄みの液体のことで、このホエイに含まれるタンパク質をホエイプロテインといいます。
体への吸収速度が早く、運動やトレーニング後のタンパク質補給に最適とされており一般的に販売されているプロテインの多くを占めています。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインとは牛乳に含まれる主要なタンパク質でチーズの原料でもあります。
ホエイプロテインが水溶性で吸収が早いことに対し、カゼインプロテインは不溶性で固まりやすく、体への吸収速度がゆっくりであることが特徴です。
ソイプロテイン
名前の通り大豆由来のタンパク質です。
吸収速度が遅く満腹感が持続しやすいことや価格が安いことが特徴です。
タンパク質の必要量
普段の活動量や体格などにより個人差がありますが、一般的に下記の式に当てはめることができます。
1日に必要なタンパク質量(g)=
自分の体重(kg)× 体重1kgあたりのタンパク質必要量(g)
運動の強度により必要とされるタンパク質量に大きく差があります。
- 普段運動をしていない人 0.8g
- フィットネスなどの軽い運動をしている人 1.2~1.4g
- ジムなどで高強度のトレーニングをしている人 1.4~1.7g
※樋口満編著『新版コンディショニングのスポーツ栄養学』を参考に作成
例えば体重が60㎏の人で軽い運動をしている場合だと計算式は
60㎏×1.2~1.4gとなり、1日に必要なタンパク質量は72g~84gとなります。
プロテインメーカーやジムのトレーナーの方などは「体重当たり2.0gのタンパク質が必要」と口をそろえたかのように主張しますが、一般の方で軽い筋力トレーニング程度の運動強度ではそこまでのタンパク質量はまず必要ありません。
タンパク質を一度に吸収できる量には限界があり、多く摂ればその分筋肉になるというものではありません。
プロテインの必要性
まずプロテインは「栄養補助食品」ですので、3食バランスの良い食事がしっかりと摂れていて不足分を補うようにして使うことが大前提です。
ネット上には「朝食の代わりにプロテイン」、「糖質や脂質を制限してタンパク質をとにかく摂る」など誤った使い方が多くみられますが、偏った食事や過度な食事制限は健康を害する恐れがあると知ることが大切です。
また、筋肉の発達にはしっかり運動で筋肉に負荷をかけることが大切な条件です。
ただタンパク質を多く摂っても運動による筋肉への負荷がなければ摂取カロリーが増えて体重だけが増える結果に終わってしまいます。
またタンパク質の摂りすぎは腎臓に負担をかける恐れがありますので注意が必要です。
このためジムに通い始めたばかりの人や自宅で筋トレを始めたばかりの人には基本的にプロテインはお勧めしません。
3食バランスの良い食事を摂れるようになってから徐々に運動強度を強くしていくだけでも十分に筋肉は発達します。
そのうえで更に必要だと感じた場合は体調をみて徐々に導入することをお勧めします。
メーカーはプロテインを使用するメリットだけを主張していますが、商品のマーケティングやネットの知識に惑わされることなく正しい判断ができるような栄養学の知識をつけることが大切です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
一般の方でもプロテインを使用している人が増えておりますが、正しく使用できている人はまだまだ少ないのではないかと感じます。
特に運動やトレーニングを始めたばかりの人は運動の強度自体が弱く、アスリートやボディビルダーたちと同じタンパク質量を摂取しても過度の摂取となりますので体重が増えるだけの結果になりやすいです。
プロテインはあくまでも栄養補助食品ですので、まずはしっかりバランスの良い食事を摂れるようになってから使い始めることをお勧めします。
この記事がみなさんの一助となれば幸いです。